Phase A: AIの基本を理解する

AIへの伝え方 — 音声入力時代に「ニュアンス」を渡す技術

Lesson 2 / 12|20分

このレッスンで学ぶこと

  • なぜ「プロンプトを書く」より「ニュアンスを伝える」発想が大事か
  • 音声入力が最速のAI入力手段になった理由と実際の使い方
  • 文脈・ゴール・制約の3つを渡すだけで出力が激変する仕組み
  • 「最初の出力は7割」前提で、追加指示で磨くループの作り方
妻
質問
ChatGPTに「記事を書いて」って指示したんだけど、薄くて使えない...。もっと上手な「プロンプト術」を覚えないとダメかな?
豊蔵
豊蔵
ポイント
プロンプト術を覚えようとしてる時点で、ちょっと方向が違うかも。AI使い込んでいくと、自然と伝え方が上手くなる。今は音声入力が主流だから、型にはめて書くより、話しかけるように伝えるほうが早い。
豊蔵
豊蔵
実例
自分の仕事でいえば、今は仕事の8割はClaude Codeが回してる。レポート作成、記事の下書き、データ集計、情報収集。全部。でも指示の出し方を「勉強した」わけじゃない。毎日使ってたら、自然に伝え方が変わっていった。
プロンプトエンジニアリングは「技術」じゃない。AIとのコミュニケーションが上手くなることだ。

音声入力が、今のAI活用の主流

「プロンプトを書く」というイメージがありますが、2026年現在、音声入力でAIに話しかけるほうが速くて自然な使い方になっています。

iPhoneならホームボタン長押しまたはキーボードのマイクアイコン。MacならF5キーまたは音声コントロール。話した内容がそのままテキストに変換され、ChatGPTやClaudeに貼り付けられます。キーボードより速く、思考をそのまま流し込める。

音声入力でAIを使う3ステップ

1

話す

iPhoneのマイクボタンを押して、頭の中にあることをそのまま話す。「えーと」「なんか」が入っても大丈夫。

2

テキスト化する

音声がテキストに変換される。最新のスマートフォン音声入力は日本語認識精度が高く、実用上ほとんど問題ない。誤字があれば軽く修正。

3

AIに貼る

変換されたテキストをClaude/ChatGPTに貼り付ける。これだけ。「良いプロンプト」を書こうとしなくていい。

話しながら「文脈」が自然に入る

音声入力の面白さは、話すときに自然と「背景情報」が入ること。「SEO記事を書いて」とタイプするより、「ターゲットが中小企業の経営者で、SEOに投資すべきか判断しようとしてる人向けに、費用対効果をテーマにした記事を書いてほしいんだけど...」と話すほうが、ずっと良い出力が出る。

「正しいプロンプト」より「自分のニュアンス」を渡す

プロンプトの型(役割・目的・文脈...)を覚えることより大事なことがあります。それは「自分が持っている情報をAIに渡す」こと。

AIは賢いけれど、あなたのことを知りません。あなたのビジネスのこと、読者のこと、これまでの試行錯誤を知らない。だから「一般論」を出してくる。そこにあなたの文脈を渡すことで、出力がリアルになる。

渡すべき3つのニュアンス

① 文脈(Context)— 何のために?

あなたのビジネス・状況・背景。AIはあなたの事情を知らない。

曖昧: 「記事を書いて」
具体的: 「BtoB SaaS企業のマーケ担当で、SEOで問い合わせを増やしたい。ターゲットは中小企業の経営者」

② ゴール(Goal)— どうなればOK?

最終的に何が欲しいか。記事なのか、構成案なのか、箇条書きなのか。

曖昧: 「SEOについて」
具体的: 「読者がSEO投資を決断できるよう、費用対効果を論理的に示す記事の構成案をH2×5で」

③ 制約(Constraint)— やってほしくないことは?

省略・過誇張・専門用語など、NGを伝えるだけで出力品質が上がる。

曖昧: (なにも言わない)
具体的: 「煽り表現は使わない。専門用語は初出で説明を入れる。数字は必ず出典を付ける」
妻
質問
毎回これを全部書くの?大変じゃない?
豊蔵
豊蔵
ポイント
慣れてくると、自然に入るようになる。あと、AIに最初に「自分のこと」を教えておくのが一番効率いい。「私は〇〇業界のマーケ担当で、ターゲットは〜」みたいな自己紹介文を作っておいて、会話の最初に貼るだけでいい。

「最初の出力は7割」— 対話で磨く前提で使う

AIを使い始めた人がやりがちな失敗は2つ。「大きすぎるお願い」と「1回の出力で諦める」です。

7割

最初の出力品質(追加指示で仕上げる前提)

ThinkMove 実践知見

3回

追加指示の目安(ここまでで8割完成する)

ThinkMove 実践知見

10秒

GSCデータ分析(従来15分→AI活用後)

ThinkMove 自社実測

対話で磨くループ

大まかな依頼

完璧に書こうとしない。まず「こういうことやって」と話しかける感覚で。

出力を確認

7割の完成度と思って読む。「ここがいい」「ここが違う」を見つける。

追加指示

「○○の部分をもっと具体的に」「△△のトーンで書き直して」と追加する。

繰り返す

2〜3回のやり取りで、自分ひとりでは出せないクオリティになる。

豊蔵
豊蔵
実例
Search ConsoleのCSVをAIに渡して「改善候補トップ5を抽出して、理由と次のアクションを付けて」と指示する。最初の出力はちょっと一般的。でも「CTR改善の優先度が低いKWは外して。imp上位で順位11-20位のKWに絞って」と追加指示すると、すぐ実用的になる。この往復で15分かかってた分析が10秒。

「1回で完璧な指示」を目指さなくていい

AIとの対話は、指示が完璧でなくてもいい。むしろ出力を見てから「この方向が違う」「もっとこうして」と対話するほうが、最終的に良いアウトプットになる。チャットUIはそのために作られている。

実際のやり取り例 — 「話しかける」感覚

音声入力で話した内容を、そのままAIに投げた例です。「プロンプトを書こう」とせず、状況を話した結果。

INPUT

(音声入力で話した内容) 「えーと、Search Consoleのデータ見てて、インプレッションは多いんだけどクリックが全然取れてないページがあって。タイトル変えたほうがいいのかなと思ってて。BtoB SaaS企業のブログで、ターゲットは中小企業の経営者です。元のタイトルは『プロトタイプとは?意味と使い方を解説』です。」

OUTPUT

タイトル改善案を3つ提案します。 案1: 「プロトタイプとは?経営判断前に知っておくべき意味と活用法(2026年版)」 → 経営者視点を追加し、「活用法」でアクション価値を強調 案2: 「プロトタイプの意味と作り方|投資判断に迷う中小企業のための実践ガイド」 → ターゲット(中小企業、投資判断)を明示してCTR向上を狙う 案3: 「プロトタイプとは?3分でわかる意味・費用・失敗しない導入の順序」 → 費用意識と失敗リスクに言及して検索意図にマッチ
📝

豊蔵のコメント

「音声で話した内容」をそのまま貼っただけ。形式的なプロンプトじゃないけど、ターゲット(中小企業経営者)・状況(imp多いがCTR低い)・元タイトルという文脈が入っているから、ちゃんと意図を汲んでくれる。案1が一番良い。ここから追加指示で30文字以内に調整するだけ。

妻
実感
「プロンプト術」を覚えようとしてたけど、普通に状況を話しかけるだけでよかったんだ!音声入力も試してみよう。

一番効率的な近道 — 「自分の文脈ファイル」を作る

毎回「自分のこと」を説明するのが面倒なら、あらかじめ「自分の文脈ファイル」を作っておくのが最も効率的です。会話の最初にこれを貼るだけで、以降の指示がすべてシンプルになります。

文脈ファイルのテンプレート

【私の状況】 - 役割: {会社名}の{担当}。{業界}向け{事業内容} - チーム規模: {人数}人チーム - 主なターゲット: {ペルソナの簡単な説明} - 今の課題: {今取り組んでいることを1-2文で} 【AIを使う目的】 - {よく頼む作業1} - {よく頼む作業2} - {よく頼む作業3} 【お願い】 - {NGなこと(例: 煽り表現、根拠のない数字)} - {トーンの指示(例: 専門的だが親しみやすく)} - 不明な点があれば、作業前に確認してください

Claude Codeを使うなら CLAUDE.md に書く

Claude Codeを使っている場合、プロジェクトルートの CLAUDE.md に「自分の文脈」を書いておくと、毎回の会話で自動的に読み込まれます。指示の手間がゼロになる。詳しくはLesson 8(AIエージェント)で説明します。

使える小技: 「違和感指摘」で育てる

AIの出力が「なんか違う」と感じたら、何が違うかを言葉にすることが自分の伝え方を磨く最速の方法です。

トーンが違う場合: 「もう少し実践的なトーンで。理論より現場目線で書いてほしい」
深さが足りない場合: 「"なぜそうなのか"の理由をもっと深く掘ってほしい。表面的すぎる」
的外れな場合: 「ターゲットが経営者じゃなくて担当者向けになってる。書き直して」

Lesson 2 まとめ

  • 音声入力でAIに話しかけるほうが、「プロンプトを書く」より速くて自然
  • 渡すべきは「文脈・ゴール・制約」の3つ。型を覚えるより、自分の状況を話すほうが大事
  • 最初の出力は7割。追加指示で磨くループが、AI活用の本質的な使い方
  • 「自分の文脈ファイル」を一度作れば、毎回の指示がシンプルになる

あなたの番です

ThinkMoveの視点

AI活用支援の現場で見えてきた、伝え方についての知見。

仕事の8割がAIで回るようになった理由

「プロンプトを上手く書こう」と思っていた頃より、「状況をそのまま話しかける」ようになってから、仕事の回り方が変わった。Search Consoleの分析、記事の下書き、レポート作成—全部AIに渡せるようになった。技術論を覚えるより、毎日使って「違う」を言い続けることが一番の近道。

出典:EP04: Claude Code入門 — インストールから最初の仕事まで

「1回でいいものを出させよう」を諦めると楽になる

AIとのやり取りは、上司への報告書を一発で仕上げようとするのと同じ失敗をしがち。まず粗削りなものを出してもらい、そこから対話で仕上げる。この「ドラフト思考」に切り替えると、AIが急に使いやすくなる。

出典:ThinkMove AI活用支援 実践知見

音声入力が伝わりやすい理由

人が話すとき、自然に「なぜそれをやるか」「誰のためか」「何が困っているか」が言葉に出る。テキストで書こうとすると、型を意識しすぎて文脈が落ちる。音声でそのまま話した内容を貼るほうが、AIが文脈を正確に拾いやすい。

出典:AI Prompt Engineering: Context and Clarity

出典・参考文献

本レッスンで引用したデータの原典一覧です。数値は各調査の公開時点のものであり、閲覧時期により更新されている可能性があります。

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  5. [5]
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よくある質問

プロンプトエンジニアリングの型(CO-STARなど)は覚えなくていいの?

最初は不要です。まず毎日使うことで、自然と「伝え方」が身につきます。型は「なんか伝わらない」と感じたときの診断ツールとして使うくらいで十分。音声入力で状況を話しかけるほうが、型に当てはめるより良い出力が出ることが多いです。

音声入力の精度は大丈夫?誤字が多そう

最新のスマートフォン音声入力は日本語認識精度が高く、実用上ほとんど問題ありません。専門用語は誤変換されることがありますが、AIは前後の文脈で正しく理解することがほとんど。軽く目を通して明らかな誤字だけ直せば十分です。

AIの出力が「なんか違う」ときはどうする?

「何が違うか」を言葉にして追加指示するのが最速です。「トーンが固すぎる」「ターゲットがズレてる」「もっと具体的な数字を入れて」—これを繰り返すことで、自分の伝え方が磨かれていきます。

プロンプトが書けるようになったら、次はAIに「良いインプット」を渡す方法。データの食わせ方を学ぼう。

Lesson 3: インプット設計