Phase 3: 仕組みを作る

事例を作る — 小さな成功を社内で共有する方法

Lesson 9 / 12|20分

このレッスンで学ぶこと

  • SEOの成果をBefore/After形式のケーススタディにまとめる方法
  • 「数字」と「ストーリー」を組み合わせて社内に伝える技術
  • 小さな成功を積み上げて、SEOへの社内信頼を築く戦略
  • 実例(インデックス率改善・CTA改善によるCVR向上)の読み解き方
妻
質問
成果出てるっぽいけど、どうやって社内に伝えればいい?「順位が5位上がりました」だけだと、上司に「で?」って言われそうで...
豊蔵
豊蔵
ポイント
「事例」を作ればいい。Before/Afterの数字をセットにして、「何を・なぜ・どうやって・どうなった」を1ページにまとめる。事例が社内に積み上がると、次のSEO投資の予算が通りやすくなるよ。
数字の変化がストーリーになる。ストーリーが信頼を作る。

なぜ「事例」が必要なのか — 数字だけでは人は動かない

Lesson 7でCTRの読み方を、Lesson 8でROIの説明方法を学びました。でも、数字だけでは上司や同僚は動きません。人が動くのは「ストーリー付きの数字」です。

「タイトルを変えてCTRが上がりました」より、「検索クエリと記事タイトルのズレを特定し、2週間で6本修正。平均CTRが1.8%→3.4%に改善、月間クリック数が+820件増加した」と伝えた方が圧倒的にインパクトがあります。ストーリーのある数字だけが人を動かします。

事例が社内にもたらす3つの効果

  1. 1

    SEOへの理解が深まる

    「SEOって何やってるかわからない」が「こういう施策でこういう成果が出るのか」に変わる

  2. 2

    次の投資判断が通りやすくなる

    「前回○○円で○○%改善した実績がある」は最強の予算獲得材料

  3. 3

    他部署の協力を得やすくなる

    成功事例を見た他部署が「うちも手伝おうか?」と言ってくれるようになる(→ Lesson 10で詳しく)

Before/After ケーススタディのフォーマット

事例は以下の4要素で構成します。短くてOK。大事なのは「数字のBefore/After」がセットになっていること。

ケーススタディ 4要素テンプレート

Before(課題)

何が問題だったか。数字で示す。

例: 「月間PV 12,000のうち、お問い合わせにつながったのは月3件のみ。CVR 0.025%」

Why(原因分析)

なぜその問題が起きていたか。

例: 「記事からサービスページへの内部リンクがゼロ。CTAが『詳しくはこちら』のみで行動を促せていなかった」

What(施策)

何をしたか。具体的に。

例: 「記事末尾にサービス関連バナーを設置。CTAを『30分の無料相談を予約する』に変更。A/Bテストで2案を検証」

After(成果)

数字がどう変わったか。期間も明記。

例: 「6週間でお問い合わせ月3件→11件(+267%)。PVはほぼ変わらずCVRだけ改善」

実例1: インデックス率 36% → 84% の改善事例

36%→84%

インデックス率改善

コラビット社事例[3]

+56%

月間AU増加

3ヶ月の施策期間[3]

ケーススタディ: 不動産テック企業 コラビット社(HowMa)

指標BeforeAfter変化
インデックス率36%84%+48pt
月間AU86,000134,000+56%

施策期間: 3ヶ月

主な施策: テクニカルSEO(重複ページ統合、インデックス最適化、内部リンク改善)

妻
質問
インデックス率って何?36%しかなかったってどういうこと?
豊蔵
豊蔵
ポイント
Googleが「存在を知っている」ページの割合。200ページ作っても、72ページしかGoogleに認識されてなかった。つまり128ページが「検索されても出てこない」状態だった。これを直しただけでAU +56%。「作る」前に「認識させる」が大事ってことがわかる事例だね。

実例2: 内部リンク & CTA改善 → CVR改善事例

「流入は増えているのに、お問い合わせが全然増えない」という相談はよくあります。この事例では、コンテンツを1本も追加せず、サイト内の動線設計だけを変えてCVRを改善しました。

ケーススタディ: あるBtoB企業(業種非公開)

Before(課題)

ブログ記事への流入はあるが、サービスページへの誘導がほぼゼロ。ユーザーが記事を読んで離脱しており、オーガニック流入がリードにつながっていなかった。

Why(原因)

記事末尾がそのまま終わっており、次のアクションへの誘導ゼロ。CTAは「詳しくはこちら」のみで、具体的な行動価値が伝わっていなかった。

What(施策)

主要10記事の末尾にサービス関連バナーを設置。CTAボタンの文言を「無料で事例を見る」「30分のデモを予約する」等、具体的な価値提示に刷新。A/Bテストで2案を比較。

After(成果)

月間お問い合わせ数が改善前の3倍以上に。PV数はほぼ変わらず、動線変更のみでCVRが大幅改善。施策期間: 約6週間。

豊蔵
豊蔵
実例
コンテンツを追加しなくても、「既存の流入がどこで離脱しているか」を見るだけで改善余地が見える。GA4で「ランディングページ→次のページ」の遷移率を見ると、記事からサービスページに全然つながっていないことがわかった。動線を整えるのは施策の中で最もROIが高い。
妻
質問
これってSEOの話じゃなくてCROじゃない?SEOと何が違うの?
豊蔵
豊蔵
ポイント
本質的には同じ。検索からの流入を「どうコンバージョンにつなげるか」まで考えるのがSEOの仕事。「流入を増やす」だけで止まっているとビジネス貢献が見えなくなる。だからLesson 8でROI計算を学んだ。事例化するときも、「流入+56%」より「CVR3倍」のほうが経営層に刺さる。

自社の事例を作る — まずは「小さな成功」から

大きな成功を待つ必要はありません。タイトル改善でCTRが上がった、1記事の順位が上がった、そんな「小さな成功」から事例化を始めましょう。

事例化しやすい「小さな成功」の例

施策Before/After例計測ツール
タイトルタグ改善CTR 2.1% → 4.8%GSC
記事リライト15位 → 5位GSC / SEO診断ツール
内部リンク追加直帰率 78% → 62%GA4
構造化データ追加リッチリザルト表示率 0% → 40%GSC

Before/Afterのスクリーンショットを残す

改善前のデータを撮り忘れると事例が作れません。施策を始める前にGSCやGA4のスクリーンショットを必ず保存しておきましょう。1分の手間で事例の説得力が10倍になります。
豊蔵
豊蔵
ポイント
SEO診断ツールを使えば、改善前後のスコアを比較できる。「SEOスコア 42点 → 78点」「LLMOスコア 35点 → 65点」のように数字の変化を可視化すると、事例としてのインパクトが格段に上がるよ。
妻
実感
まずはタイトル改善の事例から作ってみる!Before/Afterの数字があるだけで、全然説得力が違う気がする。

事例を社内で共有する — 「見せ方」のコツ

作った事例は適切なタイミングで共有しましょう。ポイントは「押しつけない」こと。

効果的な共有タイミングと方法

  1. 1

    月次定例で1分だけ話す

    「先月のSEO改善で、○○ページのCTRが2.1%→4.8%に改善しました」。事実だけを短く伝える

  2. 2

    Slackやチャットツールで軽く共有

    「Before/After」のスクリーンショット1枚 + 一文の説明。反応が良ければ深掘り

  3. 3

    社内ドキュメントに蓄積する

    Notion、Google Docs、社内Wikiなどに「SEO改善事例集」ページを作り、都度追加。誰でも見られる状態にしておく

事例は「3つ」が転換点

1つの成功事例は「まぐれ」で片付けられます。2つで「たまたまかも」。3つ揃うと「再現性がある」と認識されます。最初の3つは意識的に異なる施策タイプで作りましょう。
豊蔵
豊蔵
ポイント
事例の蓄積が3つ、5つと増えてくると、社内で「SEOって成果出るんだ」という空気ができてくる。そうなると、他部署から「うちのページも見てくれない?」と声がかかるようになる。これが次のLesson 10で学ぶ「他部署連携」への自然な入り口になるんだ。ただ正直、1人でこの蓄積をやり続けるのは大変。パートナーがいると、事例化のスピードが全然違う

Lesson 9 まとめ

  • 事例は「Before/After/Why/What」の4要素で構成する
  • 大きな成功を待たない。タイトル改善のCTR向上でも立派な事例になる
  • 事例の蓄積がSEOへの社内信頼を築き、予算獲得と他部署連携の土台になる
  • SEO診断ツールのBefore/After比較で、数字の変化を可視化できる

あなたの番です

ThinkMoveの視点

SEO事例の作成と社内共有について、実務の現場から。

事例は「3つ」集まると転換点が来る

1つの成功事例は「まぐれ」で片付けられる。2つで「たまたまかも」。3つ揃うと「再現性がある」と認識される。最初の3つの事例を意識的に異なる施策タイプ(例: タイトル改善、リライト、構造化データ)で作ると、SEOの幅広さも同時に伝わる。

「流入」ではなく「ビジネス指標」で語る

オーガニック流入+41%より「オーガニック経由のリード+41%」の方が10倍インパクトがある。事例を作る時は必ず「その流入が何に繋がったか」までトラッキングすること。GA4のイベント設定で、お問い合わせや資料DLまで追跡できる。

出典:SEO KPIの正しい選び方

事例化を仕組みにすると、改善サイクルが自然に回る

月に1つ事例を作ることを習慣にすると、自然と「何を計測すべきか」「Before/Afterを記録する」という思考が身につく。これがPDCAサイクルの「C(Check)」を強化し、改善の質を底上げする。事例化の仕組み自体が最大の資産になる。

出典・参考文献

本レッスンで引用したデータの原典一覧です。数値は各調査の公開時点のものであり、閲覧時期により更新されている可能性があります。

  1. [1]
    SEO ROI Statistics First Page Sage2026
  2. [2]
    SEO ROI Statistics SeoProfy2025
  3. [3]
  4. [4]

よくある質問

成果が小さすぎて事例にならない気がします...

「CTRが2.1%→4.8%に改善」は十分な事例です。大事なのは数字の大きさではなく、Before/Afterの変化が明確であること。小さな事例を積み上げることが、大きな信頼に繋がります。

事例に使うデータはどこから取得する?

主なデータソースは3つ。GSC(順位、CTR、クリック数)、GA4(流入数、直帰率、コンバージョン)、SEO診断ツール(品質スコアの変化)。Before/Afterの計測には、改善前のスクリーンショットを残しておくのがポイントです。

事例を社内で共有すると「もっとやれ」とプレッシャーにならない?

なることもあります。ただし「1人でできる範囲」を明確にしておくことが大切です。事例の中に「工数」や「期間」も書いておくと、現実的な期待値を共有できます。1人で抱えきれなくなったら、それは外部パートナーとの連携を検討するタイミングです。

事例ができたら、次は他部署を巻き込もう。営業・CS・開発との接点の作り方を学ぶ。

Lesson 10: 他部署連携