事例を作る — 小さな成功を社内で共有する方法
このレッスンで学ぶこと
- □SEOの成果をBefore/After形式のケーススタディにまとめる方法
- □「数字」と「ストーリー」を組み合わせて社内に伝える技術
- □小さな成功を積み上げて、SEOへの社内信頼を築く戦略
- □実例(インデックス率改善・CTA改善によるCVR向上)の読み解き方


なぜ「事例」が必要なのか — 数字だけでは人は動かない
Lesson 7でCTRの読み方を、Lesson 8でROIの説明方法を学びました。でも、数字だけでは上司や同僚は動きません。人が動くのは「ストーリー付きの数字」です。
「タイトルを変えてCTRが上がりました」より、「検索クエリと記事タイトルのズレを特定し、2週間で6本修正。平均CTRが1.8%→3.4%に改善、月間クリック数が+820件増加した」と伝えた方が圧倒的にインパクトがあります。ストーリーのある数字だけが人を動かします。
事例が社内にもたらす3つの効果
- 1
SEOへの理解が深まる
「SEOって何やってるかわからない」が「こういう施策でこういう成果が出るのか」に変わる
- 2
次の投資判断が通りやすくなる
「前回○○円で○○%改善した実績がある」は最強の予算獲得材料
- 3
他部署の協力を得やすくなる
成功事例を見た他部署が「うちも手伝おうか?」と言ってくれるようになる(→ Lesson 10で詳しく)
Before/After ケーススタディのフォーマット
事例は以下の4要素で構成します。短くてOK。大事なのは「数字のBefore/After」がセットになっていること。
ケーススタディ 4要素テンプレート
Before(課題)
何が問題だったか。数字で示す。
例: 「月間PV 12,000のうち、お問い合わせにつながったのは月3件のみ。CVR 0.025%」
Why(原因分析)
なぜその問題が起きていたか。
例: 「記事からサービスページへの内部リンクがゼロ。CTAが『詳しくはこちら』のみで行動を促せていなかった」
What(施策)
何をしたか。具体的に。
例: 「記事末尾にサービス関連バナーを設置。CTAを『30分の無料相談を予約する』に変更。A/Bテストで2案を検証」
After(成果)
数字がどう変わったか。期間も明記。
例: 「6週間でお問い合わせ月3件→11件(+267%)。PVはほぼ変わらずCVRだけ改善」
実例1: インデックス率 36% → 84% の改善事例
36%→84%
インデックス率改善
コラビット社事例[3]
+56%
月間AU増加
3ヶ月の施策期間[3]
ケーススタディ: 不動産テック企業 コラビット社(HowMa)
| 指標 | Before | After | 変化 |
|---|---|---|---|
| インデックス率 | 36% | 84% | +48pt |
| 月間AU | 86,000 | 134,000 | +56% |
施策期間: 3ヶ月
主な施策: テクニカルSEO(重複ページ統合、インデックス最適化、内部リンク改善)


実例2: 内部リンク & CTA改善 → CVR改善事例
「流入は増えているのに、お問い合わせが全然増えない」という相談はよくあります。この事例では、コンテンツを1本も追加せず、サイト内の動線設計だけを変えてCVRを改善しました。
ケーススタディ: あるBtoB企業(業種非公開)
Before(課題)
ブログ記事への流入はあるが、サービスページへの誘導がほぼゼロ。ユーザーが記事を読んで離脱しており、オーガニック流入がリードにつながっていなかった。
Why(原因)
記事末尾がそのまま終わっており、次のアクションへの誘導ゼロ。CTAは「詳しくはこちら」のみで、具体的な行動価値が伝わっていなかった。
What(施策)
主要10記事の末尾にサービス関連バナーを設置。CTAボタンの文言を「無料で事例を見る」「30分のデモを予約する」等、具体的な価値提示に刷新。A/Bテストで2案を比較。
After(成果)
月間お問い合わせ数が改善前の3倍以上に。PV数はほぼ変わらず、動線変更のみでCVRが大幅改善。施策期間: 約6週間。



自社の事例を作る — まずは「小さな成功」から
大きな成功を待つ必要はありません。タイトル改善でCTRが上がった、1記事の順位が上がった、そんな「小さな成功」から事例化を始めましょう。
事例化しやすい「小さな成功」の例
| 施策 | Before/After例 | 計測ツール |
|---|---|---|
| タイトルタグ改善 | CTR 2.1% → 4.8% | GSC |
| 記事リライト | 15位 → 5位 | GSC / SEO診断ツール |
| 内部リンク追加 | 直帰率 78% → 62% | GA4 |
| 構造化データ追加 | リッチリザルト表示率 0% → 40% | GSC |
Before/Afterのスクリーンショットを残す


事例を社内で共有する — 「見せ方」のコツ
作った事例は適切なタイミングで共有しましょう。ポイントは「押しつけない」こと。
効果的な共有タイミングと方法
- 1
月次定例で1分だけ話す
「先月のSEO改善で、○○ページのCTRが2.1%→4.8%に改善しました」。事実だけを短く伝える
- 2
Slackやチャットツールで軽く共有
「Before/After」のスクリーンショット1枚 + 一文の説明。反応が良ければ深掘り
- 3
社内ドキュメントに蓄積する
Notion、Google Docs、社内Wikiなどに「SEO改善事例集」ページを作り、都度追加。誰でも見られる状態にしておく
事例は「3つ」が転換点

Lesson 9 まとめ
- ✅事例は「Before/After/Why/What」の4要素で構成する
- ✅大きな成功を待たない。タイトル改善のCTR向上でも立派な事例になる
- ✅事例の蓄積がSEOへの社内信頼を築き、予算獲得と他部署連携の土台になる
- ✅SEO診断ツールのBefore/After比較で、数字の変化を可視化できる
あなたの番です
ThinkMoveの視点
SEO事例の作成と社内共有について、実務の現場から。
事例は「3つ」集まると転換点が来る
1つの成功事例は「まぐれ」で片付けられる。2つで「たまたまかも」。3つ揃うと「再現性がある」と認識される。最初の3つの事例を意識的に異なる施策タイプ(例: タイトル改善、リライト、構造化データ)で作ると、SEOの幅広さも同時に伝わる。
「流入」ではなく「ビジネス指標」で語る
オーガニック流入+41%より「オーガニック経由のリード+41%」の方が10倍インパクトがある。事例を作る時は必ず「その流入が何に繋がったか」までトラッキングすること。GA4のイベント設定で、お問い合わせや資料DLまで追跡できる。
出典:SEO KPIの正しい選び方 →事例化を仕組みにすると、改善サイクルが自然に回る
月に1つ事例を作ることを習慣にすると、自然と「何を計測すべきか」「Before/Afterを記録する」という思考が身につく。これがPDCAサイクルの「C(Check)」を強化し、改善の質を底上げする。事例化の仕組み自体が最大の資産になる。
出典・参考文献
本レッスンで引用したデータの原典一覧です。数値は各調査の公開時点のものであり、閲覧時期により更新されている可能性があります。
- [1]SEO ROI Statistics — First Page Sage(2026)
- [2]SEO ROI Statistics — SeoProfy(2025)
- [3]ThinkMove事例: コラビット社(HowMa)インデックス率改善 — ThinkMove(2025)
- [4]豊蔵翔太「AI×SEO時代のブランド戦略」(2025) — 第3章 内部リンク&CTA改善事例 — シンクムーブ株式会社(2025)
よくある質問
成果が小さすぎて事例にならない気がします...
「CTRが2.1%→4.8%に改善」は十分な事例です。大事なのは数字の大きさではなく、Before/Afterの変化が明確であること。小さな事例を積み上げることが、大きな信頼に繋がります。
事例に使うデータはどこから取得する?
主なデータソースは3つ。GSC(順位、CTR、クリック数)、GA4(流入数、直帰率、コンバージョン)、SEO診断ツール(品質スコアの変化)。Before/Afterの計測には、改善前のスクリーンショットを残しておくのがポイントです。
事例を社内で共有すると「もっとやれ」とプレッシャーにならない?
なることもあります。ただし「1人でできる範囲」を明確にしておくことが大切です。事例の中に「工数」や「期間」も書いておくと、現実的な期待値を共有できます。1人で抱えきれなくなったら、それは外部パートナーとの連携を検討するタイミングです。
事例ができたら、次は他部署を巻き込もう。営業・CS・開発との接点の作り方を学ぶ。
Lesson 10: 他部署連携 →